青いネモフィラが、丘いっぱいに咲いていた。
空の青が、そのまま地面に降りてきたような景色だった。
風が吹くたびに、小さな花たちは少しだけ揺れて、まるで青い波のように見えた。
そこに、黒猫がいた。
といっても、堂々と歩いていたわけではない。
ネモフィラの花のあいだから、顔を少しだけ出していた。
耳をぴんと立てて、目だけでこちらを見ている。
青い花畑の中に、ぽつんと黒い影。
それが不思議なくらい、景色に馴染んでいた。
黒猫は、何かを探しているようにも見えた。
ただ静かに、春の終わりの空気を感じているようにも見えた。
人の声も、建物も、余計なものは何もない。
あるのは、青い花と、空と、少しだけ顔を出した黒猫だけ。
それだけなのに、なぜか物語が始まりそうだった。
黒猫はきっと、この花畑の小さな番人なのかもしれない。
ネモフィラがきれいに咲く季節だけ、そっと姿を見せる。
そして、花を見に来た人の心が少し疲れていたら、何も言わずに見つめてくれる。
「急がなくてもいいよ」
そんな声が聞こえたような気がした。
青い花畑は、見ているだけで心が落ち着く。
その中から黒猫が少し顔を出しているだけで、景色にやさしい温度が生まれる。
きれいなだけではなく、少し可愛くて、少し不思議で、少しだけ物語がある。
こういう一枚は、ずっと眺めていたくなる。
春の終わりに見つけた、青い丘の小さな秘密。
ネモフィラの海の中で、黒猫は今日も静かに顔を出している。
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