夜の公園に、静かな灯りがともっていた。
川沿いのベンチには、ひとりの和風エルフが腰を下ろしている。
長い黒髪は夜風に少しだけ揺れ、淡い藤色の着物には桜と月の模様が浮かんでいた。
彼女の視線の先には、大きなストロベリームーンがある。
真っ赤ではなく、苺色と桃色と橙色が溶け合ったような、やさしい月だった。
月明かりは雲のふちを淡く照らし、川面にはゆらゆらと光の道を作っている。
街灯の橙色、建物の窓明かり、月の光。
それぞれの光が水の上で混ざり合い、夜の街を少しだけ幻想的に見せていた。
彼女は何も語らない。
ただ、遠い昔からこの月を知っているように、静かに空を見上げている。
人間の街に溶け込みながらも、耳の先だけが彼女が別の物語から来た存在だと教えてくれる。
けれど、その姿に不思議な違和感はなかった。
夜の公園も、川沿いの街並みも、ベンチも、街灯も、彼女を自然に受け入れているように見えた。
ストロベリームーンの夜には、普段見慣れた景色まで少し違って見える。
同じ川、同じ街、同じ公園のはずなのに、どこか遠い世界の入口のように感じられる。
このイラストの魅力は、派手な魔法ではなく、静けさの中にある。
月を見つめる背中、黒髪に入る細い光、着物のやわらかな模様、川に揺れる反射。
そのひとつひとつが、言葉にならない物語を作っている。
もしこの夜に彼女へ声をかけたとしても、きっと返事は短いものだろう。
それでも、その横に座って同じ月を眺めていれば、少しだけ心が静かになる気がする。
ストロベリームーンは、夜空に浮かぶ大きな記憶のようだった。
そして和風エルフの後ろ姿は、その記憶を大切に見守っているように見えた。
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