夕日が、空を赤く染めていました。
ただの夕暮れではありません。
まるで世界そのものが燃えているような、強く、静かで、逃げ場のない赤でした。
長い石段の先には、巨大な鳥居が立っています。
その奥から差し込む光は、あまりにもまぶしくて、そこに何があるのかは見えません。
けれど、真田幸村は足を止めませんでした。
赤備えの鎧は夕日に照らされ、炎のように輝いています。
手には刀。
背中には、もう戻らない覚悟。
石段を一段のぼるたびに、風が強くなります。
赤い花びらのようなものが舞い、熱を帯びた空気が鎧の隙間を通り抜けていきます。
この先にあるのは、勝利なのか。
それとも、終わりなのか。
誰にも分かりません。
ただ、あの鳥居の向こうには、きっと運命があります。
人として歩いてきた道の先に、伝説へと変わる場所があるのかもしれません。
幸村は振り返らず、赤い光の中へ進んでいきます。
その姿は、戦に向かう武将というより、もうひとつの世界へ渡っていく者のようでした。
夕日はさらに燃え、鳥居の向こう側を黄金に染めていきます。
そして石段には、ただひとつの背中だけが残っていました。
赤い時代の終わりへ。
あるいは、赤い伝説の始まりへ。
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