水面の光を背に、
ひとりの剣士が低く構えている。
浅葱色の羽織が風に流れ、
白い山形模様が静かに揺れている。
その姿は、
若き沖田総司を思わせる。
ただ敵に向かっているのではない。
ただ刀を振ろうとしているのでもない。
目の前にある、
誰にも見えない一点を、
彼だけが見つめている。
花びらもない。
敵の姿もない。
斬るべきものは、画面の中には描かれていない。
それでも、
刀の軌道と、
張りつめた空気だけで、
そこに何かがあるように感じる。
この画像でいちばん強く印象に残るのは、
やはり刀だと思う。
画面を横切る長い刀身は、
水面の反射を受けて白く光り、
人物の表情よりも先に目に飛び込んでくる。
顔の美しさではなく、
構えの静けさでもなく、
まず刀が語っている。
速さ。
正確さ。
迷いのなさ。
沖田総司という人物には、
若さや儚さの印象がつきまとう。
けれどこの一枚では、
その儚さよりも、
剣士としての集中力が前に出ている。
まだ斬っていないようにも見える。
もう斬ったあとにも見える。
その一瞬のあいだに、
沖田総司らしい鋭さが閉じ込められている。
見えないものを斬る、という表現は、
少し不思議な迫力がある。
相手が描かれていないからこそ、
見る側の想像が入り込む。
彼が斬ろうとしているのは、
敵なのか。
運命なのか。
それとも、自分の中にある迷いなのか。
明るい空と、
静かな池の光の中にいるのに、
画面には冷たい緊張感がある。
美しいだけでは終わらない。
強いだけでも終わらない。
刀の先に何も描かれていないことで、
かえって沖田総司という剣士の存在感が、
より鋭く浮かび上がっているように感じた。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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