そこは、水族館という概念が終わりを告げた場所に建つ、「海の記憶」を祀る神殿。
遥か未来、文明と海が境界を失い、完全に融合した世界。
私たちはもはや、ガラス越しに海を眺めるのではない。
母なる海の知性そのものに、静かに抱かれるのだ。
見上げる先には、神話の化身のように光を纏った巨大なエイが、
重力を忘れて優雅に舞う。
周囲を漂うのは、かつての海の記憶。
数千年前の魚の群れ、絶滅した生命の残像、そして情報の粒子が、
銀河のような光の帯となって空間を埋め尽くしている。
この圧倒的なスケールを前に、人はただ、沈黙する。
かつて人間が海を支配しようとした時代は遠い昔。
今、この青白い光に満ちた聖域に立っているのは、
支配者ではなく、宇宙の一部としての「小さな個」だ。
静寂が、音よりも雄弁に語りかけてくる。
テクノロジーは魔法を超え、ついに神聖さに辿り着いた。
この場所で流れる時間は、私たちが知る時間とは別のルールで動いている。
一度足を踏み入れれば、二度と元の世界には戻れないような――。
そんな心地よい畏怖を抱きながら、私はただ、未来の海に祈りを捧げる。
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